花粉症の検査方法が知りたいアナタへ。何科?費用?など解説

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花粉症の検査方法にまつわるあれこれを健康オタクが解説します。
 
 
花粉症の検査方法が知りたいアナタにどのような方法で行うのか。
病院は何科を受診すればよいのか。
すぐに出来る?
費用は?
どの項目を調べるのがおすすめか解説します。
 
 
 
なんだか目が痒い、鼻のむずむずが続く、
サラサラした鼻水が続いて、
 
 
あれ?もしかして?

これが噂のあれか!

花粉症か?

ついに私もきちゃった?
 
 
病院に行って、
花粉症の検査をしてみようかな?
 
 
あれ、
でも、
病院って何科に行けばいいのかな?
予約必要かな?
いくら掛かるんだろう?
 
 
とご心配のアナタに
花粉症の検査についてお教えします。
 
 
 
結論から言うと、
 
 
◆何科?

鼻の症状がある場合、耳鼻咽喉科(耳鼻科)がおすすめです。
鼻の症状がなく眼の症状が主な場合、眼科がよいでしょう。
小さいお子さんの場合は、小児科でもよいでしょう。
 
 
 
◆予約?

予約は必要ありません。
 
 
 

◆検査内容?

問診、鼻の視診、必要なら、血液検査。
病院によっては、鼻汁好酸球検査、皮膚テスト、鼻粘膜誘発テストもあります。
 
 
 
◆一日で結果が分かる?

検査方法によります。
20分で結果が分かる方法

結果が分かるまで1週間ほどかかる方法
があります。
 
 
 
◆健康保険は使える?

花粉症の症状があり、医師が検査を必要と判断した場合は、健康保険が使えます。
しかし、検査するアレルゲンの種類が増えると保険外になることもあります。
 
 
 
◆費用は?

検査により異なります。
3割負担で1500~6300円ほどです。
 
 
 
◆花粉症の診断は?

現在起こっている症状がアレルギー性で、なおかつ、原因が花粉であることが分かれば、花粉症と診断されます。幾つかの検査の結果から総合的に判断されます。
 
 
 
◆検査を受ける病院の選び方

花粉症患者が増えたので、花粉症を見ることができる病院は増えています。しかしながら、病院によって行っている検査が異なります。受診前に調べることをおすすめします。
 
 
それでは、それぞれを詳しく見ていきましょう。
 
 
 
 
◆何科を受診したらよい?

花粉症の検査は、耳鼻咽喉科、眼科、内科、小児科、皮膚科、アレルギー科などさまざまな科で受けられます。
その中で、鼻の症状がある場合は、耳鼻咽喉科(耳鼻科)を、私はおすすめします。
 
 
なぜなら、鼻の中をよく見てくれるからです。耳鼻咽喉科(耳鼻科)での花粉症の診断では、鼻の粘膜の状態を観察(視診)します。
 
 
耳鼻科医は、額帯鏡と言われる中央に穴の開いた凹面鏡や、鼻の穴を拡げて奥をのぞける鼻鏡を使います。耳鼻科医以外が額帯鏡や鼻鏡を使用することはあまりありません。
 
 
耳鼻咽喉科(耳鼻科)では、これらの道具を用い、鼻の視診が行えます。耳鼻科医以外のお医者さんが、鼻の粘膜を見ることは少ないようです。
 
 
鼻の症状がなく、眼の症状が主な場合は、眼科がよいでしょう。
 
 
小さいお子さんの場合は、小児科でもいいでしょう。
 
 
妊婦さんは、産婦人科で相談してもよいでしょう。治療は行えると思います。ただし、最初の検査は耳鼻咽喉科(耳鼻科)や眼科のほうがいいかもしれません。
 
 
 
◆花粉症の検査は、大きく分けて2種類

花粉症の検査は、大きく分類すると、以下の2種類あります。
1.アレルギー性か否かを調べる検査
2.アレルギーの原因を調べる検査
 
 
それぞれ、以下のような検査があります。
 
 
アレルギーの原因を調べる検査皮膚テスト、血清特異的IgE抗体検査(血液検査)、鼻粘膜誘発テスト

アレルギー性か否かの検査 問診、鼻鏡検査、鼻汁好酸球検査、血清非特異的IgE抗体定量(血液検査)、アレルギー性結膜炎迅速診断検査

どの検査を行っているかは、病院によって異なります。
また、病状によっても、行われる検査が変わってきます。
 
 
それぞれの検査の内容は以下の通りです。
 
 
 
◆問診

花粉症の検査で何をするかは、病院によって異なりますが、問診はどこの病院でも行われます。
 
 
問診 診断の手かがりとするために、患者本人の病気の状態や、これまでの経過、患者の家族の病歴をたずねること。

聞かれる項目は、病院によって異なりますが、主に以下の通りです。

・年齢
・性別
・職業や生活環境
コンタクトレンズを使っているか?プールに通っているか?ペットを飼っているか?

・症状の種類と程度
どんな症状がどのくらいの強さで出るか?症状によってどの程度生活を妨害されているか?一番苦痛な症状は何か?(くしゃみ、鼻水、鼻づまり、鼻のかゆみ、目のかゆみ、涙が出る、目やに、のどのかゆみ、せき、のどの痛み、耳のかゆみ、頭痛、皮膚症状、だるさや発熱などの全身症状など)

・発症年齢
いつから症状が出たか?何歳から出たか?

・好発期
症状が出るのはどの季節か(いつ頃からいつ頃まで)?一年中か?

・症状と場所との関係
外出時に症状が悪化するか?野山で花粉に触れる機会が増えると悪化するか?

・アレルギー既往症
他のアレルギーの病気があるか?(アトピー性皮膚炎、喘息、食物アレルギー、膠原病、薬へのアレルギーなど)

・家族歴
家族(父、母、兄、弟、姉、妹など)にアレルギーの人がいるか?

・治療歴・経過 これまでに受けた治療があるか?どんな治療をして、その後の経過はどうだったか?
 
 
花粉症シーズンの病院は混んでいることが多いので、これらの項目に対する答えをあらかじめ自分で考えてメモしていくとスムーズに診察が受けられるでしょう。
 
 
問診の費用は、初診料に含まれています。
3割負担の場合
初診料 約850円
再診料 約220円
 
 
 
◆鼻鏡検査

耳鼻咽喉科(耳鼻科)で行われています。鼻鏡を用いて、鼻の中を観察します。
 
 
花粉症の場合は鼻の粘膜が赤く腫れやすく、ハウスダストなどによる通年性アレルギー性鼻炎では鼻粘膜が青白く腫れやすいです。また、どちらもさらさらとした水のような鼻水が溜まっています。
 
 
また、鼻の状態をみることで、鼻中隔湾曲症や副鼻腔炎などと区別し、合併症がないかも調べます。鼻中隔とは、鼻の穴に間にある仕切りのことです。鼻中隔はたいてい左右どちらかに曲がっているのが普通です。この曲がりがひどく、日常生活に支障が出る場合は、治療が必要になります。鼻水に黄色い膿が混じっている場合は副鼻腔炎も疑われます。
 
 
費用は初診料(診察料)に含まれています。
 
 
 
◆鼻汁好酸球検査

鼻汁好酸球検査とは、鼻汁中の好酸球の量を見ることで、アレルギーによる症状か調べる検査です。
 
 
アレルギー反応が起きると、鼻水の中に好酸球が出ます。綿棒を鼻水で採って、顕微鏡で観察し、好酸球の有無を調べます。ここで好酸球が見つかれば、アレルギー性であることが確認できます。好酸球の数を数えることでアレルギーの程度を調べることもできます。
 
 
保険診療3割負担の場合、費用は約420円です。
 
 
この検査は鼻の症状がある時に行うことが重要です。鼻の症状がない時には、好酸球は出ません。
 
 
また、薬を飲んでいる場合や、アレルギー反応が弱い場合は、アレルギーであっても陰性となることがあります。
 
 
鼻汁が少ないと、鼻汁好酸球検査ができないこともあります。
 
 
この鼻汁好酸球検査は、耳鼻咽喉科(耳鼻科)以外ではあまり行われません。また、耳鼻咽喉科(耳鼻科)であっても行っていない病院もありました。
 
 
私の自宅の近所の2つの耳鼻咽喉科に聞いてみました。
 
 
A耳鼻咽喉科
・鼻汁好酸球検査は行ってはいる。
・先生が必要だと判断したときにだけ行う。
・鼻汁が多くないとできない。
 
 
B耳鼻咽喉科
・鼻汁好酸球検査は行っていない。
 
 
 
◆血清非特異的IgE抗体定量(血液検査)

採血による血液検査を行います。
 
 
血清非特異的IgE抗体定量検査では、血液中の総IgE量を調べます。IgE RIST(リスト)(radioimmunosorbent test)とも呼ばれます。
IgE値によって、アレルギー反応の有無が分かります。
 
 
「IgE」とは、体内に侵入した抗原に反応して生まれる抗体です。このIgE抗体を作りやすい体質を、アレルギー体質、またはアトピー体質と呼んでいます。
 
 
しかし、アレルギー性鼻炎単独、特に花粉症単独の場合は、総IgE量が正常値のことも多く、花粉症の検査としてはあまり行われていません。
 
 
他のアレルギー疾患の喘息、アトビー性皮膚炎の合併症例では高い値となることが多くあります。
 
 
何に対してアレルギーがあるかは分かりません。アレルギーの原因を調べたい場合は、後で紹介する特異的IgE検査を行います。
 
 
保険診療3割負担の場合、費用は約730円です。
 
 
 
◆アレルギー性結膜炎迅速診断検査

涙液中非特異的IgE検査をする方法もあります。
 
 
アレルギー性結膜炎迅速診断検査キット「アレルウォッチ 涙液IgE」を用います。検査用の細長いろ紙を下まぶたにはさんで、涙を吸わせ、薬液と反応させることで判定します。10~15分程度でアレルギー性結膜炎かどうか判定できます。
 
 
原因物質が何であるかは分かりません。
 
 
保険診療3割負担の場合、費用は約400円です。
 
 
 
◆アレルギーの原因を調べる検査

アレルギー性であると分かったら、次にアレルギーの原因物質(アレルゲン)が何かを調べる検査をします。
 
 
アレルゲンを調べる方法は、以下の通りです。
 
 
・血液の検査:血清特異的IgE抗体検査
・皮膚の検査:皮膚テスト(皮内テスト、スクラッチテスト、パッチテスト)
・鼻の検査:鼻粘膜誘発テスト
 
 
それぞれを詳しく見てみましょう。
 
 
 
◆血清特異的IgE抗体検査

血液中の特異的IgE抗体の種類や量を調べます。特異的IgE抗体とは、各アレルゲンに対してだけ産生される専用のIgE抗体です。
 
 
皮膚テストや誘発テストと異なり、薬使用や皮膚状態の制限は、ありません。
 
 
アレルギーの原因を調べる血液検査は、以下の通りです。病院によって行っている検査が異なります。
 
 
・CAP-RAST(イムノキャップなど)
採血した血液を検査室か検査センターに依頼して調べます。起きているアレルギー反応のアレルゲンを特定する検査です。静脈採血が必要です。

結果が分かるまで数日かかります。後日結果を聞くことになるので、再診料もかかります。

特定のアレルゲンに対するアレルギー反応の強さも測定できます。IgE抗体価という詳細なデータが出ます。0~6までの7段階にクラス分けし、2以上が陽性とされます。陽性だからといって、必ずしもアレルギー症状が出るわけではありません。クラス4以上であればアレルゲンである可能性が高く、クラスが高いほど症状も重くなりやすい傾向はありますが、相関しないケースもあります。

以下の2つの方法があります。
1.項目を自由に選ぶ方法
2.決まった16項目セットから選ぶ方法

1.項目を自由に選ぶ方法
製造メーカーにもよりますが、検査可能なアレルゲンは、180種以上あります。食物、花粉、動物、カビ、ハウスダストなどです。

保険診療内で行うことができるのは、一度に13種類までです。どのアレルギーについて調べるかは、お医者さんと相談して決める必要があります。
この方法が、色々な病院でよく行われています。

年齢、症状など問診、地域に基づいて、選択します。花粉の中では、スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギなどがよく花粉症のアレルゲンとなります。

費用は、3割負担の場合
1項目ごとに約330円
保険適用は13項目までです。
検査判断料 約430円も加算されます。
1種類検査したとき 約760円
5種類検査したとき 約2,450円
10種類検査したとき 約3,770円
 
 
2.16項目セットを選ぶ場合

いくつか種類があります。鼻炎、アトピー、食物アレルギーなど、それぞれの疾患に関連するアレルゲンのうち、頻度が高いものを選んで作られたセットになります。

CAP-16のメリットは、16項目検査できるのに13項目の価格で済むことです。

費用は、3割負担の場合、約4,800円

デメリットは、決まった組み合わせ以外選べないことです。CAP-16+αは保険では認めれれていません。セットに入っていない項目を測定したいときは、1項目ずつ選ぶ方法で行わなければなりません。その場合は、保険適用は13項目までとなります。
 
 
・MAST-36
採血した血液を検査室か検査センターに依頼して調べます。同時多項目の特異的IgE抗体のスクリーニング検査です。つまり、一度に多くの項目を測定し、その中からアレルゲンのふるい分けをします。静脈採血が必要です。

問診からアレルゲンの特定が難しい場合に有用です。

結果が分かるまで数日かかります。後日結果を聞くことになるので、再診料もかかります。

アレルギーIgE抗体価という詳細なデータは出ません。特定のアレルゲンに対して0~6までの7段階にクラス分けされた結果が出ます。2以上が陽性とされます。しかし、陽性だからといって、必ずしもアレルギー症状が出るわけではありません。
精査とされるイムノキャップテスト(CAP-RAST)と結果が一致しないこともあります。

決まった36項目を調べられます。
MAST-36検査:コナヒョウダニ、ハウスダスト1、ネコ皮膚、イヌ皮膚、オオアワガエリ、カモガヤ、ブタクサ混合物1、ヨモギ、スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ、カンジダ、アルテルナリア、アスペルギルス、ラテックス、トマト、モモ、キウイ、バナナ、ゴマ、ソバ、小麦、ピーナッツ、大豆、米、マグロ、サケ、エビ、カニ、ミルク、豚肉、牛肉、鶏肉、オボムコイド、卵白

費用は、3割負担の場合、約4800円です。
 
 
・Viewアレルギー39
採血した血液を検査室か検査センターに依頼して調べます。同時多項目の特異的IgE抗体のスクリーニング検査です。つまり、一度に多くの項目を測定し、その中からアレルゲンのふるい分けをします。静脈採血が必要です。

問診からアレルゲンの特定が難しい場合に有用です。

結果が分かるまで数日かかります。後日結果を聞くことになるので、再診料もかかります。

アレルギーIgE抗体価という詳細なデータは出ません。特定のアレルゲンに対して0~6までの7段階にクラス分けされた結果が出ます。2以上が陽性とされます。しかし、陽性だからといって、必ずしもアレルギー症状が出るわけではありません。

吸入抗原に関しては、精査とされるイムノキャップテスト(CAP-RAST)とかなり高い確率で一致するというデータがあります。しかし、食物抗原に関しては誤差が見られます。

そのため、View39は食物アレルギーのスクリーニングとしては使いにくいですが、アレルギー性鼻炎や花粉症のスクリーニングには適していると言えるでしょう。

決まった39項目を調べられます。
Viewアレルギー39検査:ヤケヒョウダニ、ハウスダスト1、ネコ皮膚、イヌ皮膚、ゴキブリ、ガ、スギ、ヒノキ、ハンノキ(属)、シラカンバ(属)、カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、ヨモギ、アルテルナリア、アスペルギルス、カンジダ、マラセチア(属)、ラテックス、卵白、オボムコイド、ミルク、小麦、大豆、ソバ、ピーナッツ、米、ゴマ、エビ、カニ、キウイ、リンゴ、バナナ、鶏肉、牛肉、豚肉、マグロ、サケ、サバ

ハウスダストや花粉などの吸入系抗原が19種類。
卵や牛乳、小麦などの食物系抗原が20種類。
あわせて39種類です。

また、花粉-食物アレルギー症候群の診断にも適しています。花粉-食物アレルギー症候群とは、pollen-food allergy syndrome、略してPFAS(ピーファスと読むことが多いです)です。簡単に言うと、花粉症から食物アレルギーに至ることをPFASと言います。

どの花粉がどの食べ物に対応しているかは、サーモフィッシャー社の「PFAS(花粉-食物アレルギー症候群)関連する原因花粉の植生と食物」に詳しく書かれています。

費用は、3割負担の場合、約4800円です。

MAST36とView39は以下の項目が異なります。
・MAST36にしかないもの:コナヒョウダニ、トマト、桃
・View39にしかないもの:ヤケヒョウダニ、ガ、ゴキブリ、マラセチア、サバ、リンゴ
 
 
・イムファスト
指先から少量の血液を取るだけで検査できます。注射器は使いません。
静脈採血が困難な乳幼児でも検査ができます。

アレルギーIgE抗体価という詳細なデータは出ません。特定のアレルゲンに対して0~4までの5段階にクラス分けされた結果が出ます。2以上が陽性とされます。しかし、陽性だからといって、必ずしもアレルギー症状が出るわけではありません。

決まった3項目を調べられます。2タイプあります。
イムファストチェックJ1:スギ花粉、ネコ上皮、ヤケヒョウヒダニ
イムファストチェクJ2:卵白、牛乳、小麦

測定時間は約20分です。
その日のうちに結果がわかるので、再診料がかかりません。
乳幼児や、忙しくてなかなか来院できない方におすすめの検査です。

費用は、3割負担の場合、約1500円です。
 
 
・イムノキャップラピッド
指先から少量の血液を取るだけで検査できます。注射器は使いません。
静脈採血が困難な乳幼児でも検査ができます。

アレルギーIgE抗体価という詳細なデータは出ません。特定のアレルゲンに対して陰性・陽性・強陽性の3段階の結果が出ます。しかし、陽性だからといって、必ずしもアレルギー症状が出るわけではありません。

決まった8項目
イムノラピッド:スギ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、ヤケヒョウヒダニ、イヌ皮屑、ネコ皮屑、ゴキブリ

測定時間は約20分です。
その日のうちに結果がわかるので、再診料がかかりません。
乳幼児や、忙しくてなかなか来院できない方におすすめの検査です。

費用は、3割負担の場合、約3100円です。
 
 
 
◆血液検査の注意点

特異的IgE抗体検査で陽性となっても必ずしも症状が出るわけではありません。数値の大きさとアレルギーの重症度も必ずしも相関しません。
 
 
例えば、スギに対して特異的IgE抗体検査の数値が高い人の実際の症状がそれほど強くないこともあります。逆に、数値が低い人で症状が強いこともあります。
 
 
特異的IgE抗体検査が陽性であっても、症状が出ないこともあります。特異的IgE抗体陽性とは、アレルギー反応を起こす準備ができている状態であると意味しているに過ぎないからです。アレルギー反応を起こしているという意味ではないのです。
 
 
アレルギー反応を起こす準備ができていることを感作された状態と言います。
 
 
血液検査の結果が示しているのは、可能性にすぎないのです。
 
 
 
◆皮膚テスト

皮膚テストとは、アレルゲンと疑われる物質を皮膚に接触させ、反応を見る方法です。
 
 
皮膚のすぐ下にはマスト細胞があります。
アレルゲンと思われる物質を前腕(肘から手首までの部分)の皮膚にしみこませ、細胞表面に結合したIgE抗体が反応するかどうかをみます。
 
 
アレルギー反応が起きると、アレルゲンをつけた部分の皮膚に浮腫が生じて盛り上がり、毛細血管が拡張して赤くなります。反応の程度をみて、陽性かどうか判定します。
 
 
皮膚テストには色々な方法があります。
 
スクラッチテスト(プリックテスト)
アレルゲンを含んだエキスを皮膚に1滴たらし、特殊な針で皮膚の表面を軽くこすってしみこませ、15分後の反応をみます。

皮内テスト
アレルゲンを含んだエキスを少量、皮膚のすぐ下に注射して、15分後の反応をみます。感度はプリックテストの100倍以上といわれます。時として反応が強く出ることがあり、あまり行われていません。

パッチテスト
接触皮膚炎にはアレルゲンと考えられるものを皮膚につけてシールで密封し48時間後に判定します。
 
 
費用は、3割負担の場合、1箇所につき約100円、
検査箇所が22箇所以上の場合はトータルで約1100円です。
 
 
 
◆皮膚テストのメリット・デメリット

メリット
・安価で受けられます。
・短時間で結果が直接見られます。

デメリット
・痛みを伴います。
・検査前に、少なくとも1週間は薬の使用をやめる必要があります。その間、アレルギー症状の苦痛を我慢しなければなりません。
・検査による反応でかゆみ、腫脹が後まで残ることがあります。
・激しいアレルギー反応を起こす危険性もあります。特に皮内テストは、アナフィラキシーショックを起こす恐れがあるため、通常、プリックテストで様子を見てから行います。万が一のときの対応がしっかりとれる医療機関で受けたほうが安心です。
 
 
 
◆鼻粘膜誘発テスト

鼻粘膜に疑われるアレルゲンのエキスをつけた紙を鼻に差し入れ、症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)が出るかを見てアレルゲンを確定する検査です。
 
 
血液検査などと比べて、より直接的で信頼性の高い検査方法ですが、実際にアレルギー症状が起こるため、苦痛を伴います。
 
 
検査前には数日間(3日から1週間程度)薬の使用をやめる必要がある。その間はアレルギー症状の苦痛を我慢しなければなりません。
 
 
費用は、3割負担の場合、1箇所につき約100円、
検査箇所が22箇所以上の場合はトータルで約1000円です。
 
 
 
◆診断基準

花粉症はアレルギー性鼻炎のうち、花粉症が原因であるものをさします。アレルギー性鼻炎の診断基準は以下の通りです。
 
 
アレルギー性鼻炎の診断基準
・鼻のかゆみ、くしゃみ、サラサラした鼻水、鼻づまりがある。
・以下の1~3のうち2つ以上が陽性
1.鼻汁好酸球検査
2.皮膚テスト(または血清特異的IgE抗体検査)
3.誘発テスト

・上記の2もしくは3のみ陽性の場合は、典型的症状があり、中程度以上の陽性であること。
 
 
厳密に診断する場合は、上記の診断基準にしたがって検査を行います。しかし、たくさん待たせている患者さんを、短時間で診断しなければならない現実もあり、実際には上記全ての検査を行うことはあまりありません。実際には、問診で症状の確認を行い、鼻の状態を確認することで花粉症やアレルギー性鼻炎と診断することがほとんどです。
 
 
 
◆花粉症の検査をしているか事前に確認した方がいい

病院によっては、花粉症の検査を行っていないところもあります。また、行える検査も病院によって異なります。事前に行こうとしている病院のホームページで確認したり、直接電話をしたりして、花粉症の検査を受けられるか、どんな検査が受けられるか確認しましょう。念のため、予約が必要かも聞いておくと安心です。
 
 
 
◆大きな病院で花粉症検査を受けるのは避けた方がいい

ベット数が200床以上の大病院では、紹介状なしの初診に、選定療養費がかかります。通常の診察料の他に、金額は病院によって異なりますが、数千円余分にかかってしまいます。
 
 
 
◆花粉症検査は通いやすい病院で受ける方が良い

花粉症検査の後は、治療になる場合が多いため、通院に楽な病院で検査を受けることをおすすめします。定期的に通うことが多いので、診療時間や休診日を確認して、自分で通える病院を探しましょう。自宅近く、もしくは、通勤通学の途中にある病院が候補になるでしょう。買い物のついでに行けるところも便利です。
 
 
 
◆どの検査を受けたほうがいいのか?

問診と、鼻の鼻鏡検査は受けたほうがいいでしょう。可能ならば、鼻汁好酸球検査や、アレルギー結膜炎を疑ったときのアレルギー性結膜炎迅速診断検査も簡単に行え、有用でしょう。
 
 
問診と、鼻の鼻鏡検査で、治療方針は、ほぼ決まります。
 
 
大人の花粉症の場合、血液検査については、必要がないことが多いと考えます。なぜなら、治療方針が基本的に変わらないからです。
 
 
医療の大原則は、治療方針の変わらない検査は行わない!ということです。治療方針が変わらない検査は、行う意味がありません。
 
 
無駄な検査は、医療費の増加につながり、健康保険制度の収支悪化につながります。
 
 
血液検査の結果は、必ずしも症状と一致しません。毎年同じ時期に同じ症状があるなら、問診と鼻の視診で、花粉症であるかどうかは分かります。
 
 
血液検査で陰性であっても、症状があるなら、薬で治療は開始します。血液検査の結果によって、治療方針は変わらないのです。
 
 
したがって、血液検査をするようにすすめる方は多いですが、おとなの花粉症にアレルギー検査をする必要はないと私は考えます。
 
 
(お医者さんがこのような考えを書いていて大いに共感しました。)
 
 
では、血液検査が必要となるのは、どういった場合でしょうか?血液検査が必要となるのは、小児の場合と、大人でも問診でアレルゲンが予測できない場合や、蕁麻疹・食物アレルギーを調べたい場合、引っ越しや転職を考えている場合です。
 
 
アレルゲンを調べることで、アレルゲンの対策ができるようになります。
 
 
引っ越しや転職を考えている場合は、新しい住居や勤務先の環境を選ぶ際の参考になります。例えば、スギにアレルギーがあるから、スギの花粉が多く飛んでいる場所は避けようなどということができます。
 
 
 
◆今日のまとめ

花粉症の検査をまとめると以下のようになります。
 
 
・何科を受診するか?
鼻の症状-あり→ 耳鼻咽喉科(耳鼻科)(小さいお子さんは小児科も可)
-なし→ 眼科(小さいお子さんは小児科も可)
 
 
・予約は不要
 
 
検査の目的と検査法の関係

問診 鼻鏡検査 鼻汁好酸球検査 非特異的IgE(血液) アレルウォッチ 皮膚テスト 特異的IgE(血液) 鼻粘膜テスト
アレルギーか非アレルギーか
アレルゲンは何か
治療方針の決定

 
 
問診の答えをあらかじめ考えておくとスムーズに診察が受けられます。
 
 
鼻鏡検査は、主に耳鼻咽喉科(耳鼻科)で受けられます。
 
 
鼻汁好酸球検査は、耳鼻咽喉科(耳鼻科)で行っていることが多いですが、行っていない病院もあります。
病状、服薬時は受けられないなど制限があります。
 
 
アレルギーの原因を調べる血液検査
特異的IgE抗体検査
検査法の比較

検査名 CAP-RAST CAP-16 MAST-16 View39 イムファスト イムノキャップラピッド
項目数 選べる13 決まった16 決まった36 決まった39 決まった3(2種類) 決まった16
採血 静脈 静脈 静脈 静脈 指先から少量 指先から少量
判定 IgE抗体価という詳細なデータ
クラス分け7段階
IgE抗体価という詳細なデータ
クラス分け7段階
クラス分けのみ
クラス分け7段階
CAP-RASTと結果が一致しないことも
クラス分けのみ
クラス分け7段階
吸入抗原はCAP-RASTと高い確率で一致
食品抗原は誤差あり
クラス分けのみ
クラス分け5段階
クラス分けのみ
クラス分け3段階
結果判明時間 数日 数日 数日 数日 約20分 約20分
費用
(3割負担の場合)
約4800円(最大) 約4800円 約4800円 約4800円 約1500円 約3100円

 
 
特異的IgE抗体検査(血液検査)の注意点
検査結果から分かるのは、アレルギー反応を起こす準備ができているかどうかです。
特異的IgE抗体検査で陽性となっても必ずしも症状が出るわけではありません。数値の大きさとアレルギーの重症度も必ずしも相関しません。
 
 
アレルギーの原因を調べる検査
皮膚の検査と血液検査と鼻粘膜誘発テストの比較

スクラッチテスト 皮内テスト 特異的IgE抗体検査 鼻粘膜誘発テスト
痛み・苦痛 弱い やや強い 弱い 苦痛あり
皮膚状態、薬物使用 制限あり 制限あり 制限なし 制限あり
全身反応 まれ まれに強く なし
費用(保険制限) 安い(21種) 安い(21種) 高い(13,16,36,39種) 安い

 
 
費用 保険3割負担の場合
 
 
診察
初診料 約850円
再診料 約220円(検査結果を後日聞く場合にはかかります)

鼻鏡検査 診察料に含まれます。
鼻汁好酸球検査 約420円
血清非特異的IgE抗体定量(血液検査) 約730円
涙液中非特異的IgE検査アレルウォッチ 約400円

特異的IgE抗体検査
CAP-RAST 約760円(1種)~約4800円(13種)
病院によっては○種以上(例 7種以上)と
決まりがある場合もあります
CAP-16  約4800円
MAST-16  約4800円
View39 約4800円
イムファスト 約1500円
イムノキャップラピッド 約3100円

皮膚テスト 約100円(1箇所)~約1100円
 
 
花粉症の診断
実際の診療現場での診断は、問診で症状の確認を行い、鼻の状態を確認することで花粉症やアレルギー性鼻炎と診断することがほとんどです。

病院によって、行っている検査が異なるので、事前に確認することをおすすめします。
 
 
どの検査をうけるとよいか?
問診と、鼻の鼻鏡検査は受けたほうがいいでしょう。可能ならば、鼻汁好酸球検査や、アレルギー結膜炎を疑ったときのアレルギー性結膜炎迅速診断検査も簡単に行え、有用でしょう。
非特異的IgE抗体検査(血液検査)は、必ずしも必要ではないと私は思います。
 
 
非特異的IgE抗体検査(血液検査)の必要性は、以下の通りです。

年齢 問診によるアレルゲンの予測 引っ越し・転職予定 蕁麻疹・食物アレルギー 非特異的IgE抗体検査(血液検査)
大人 可能 なし なし 必須ではない
大人 可能 あり なし 推奨
大人 不可能 ありorなし なし 推奨
小児 可or不可 ありorなし ありorなし 推奨

 
 
この一覧で必須ではない場合でも、アレルゲンが何であるか調べてみたいという場合は、非特異的IgE抗体検査(血液検査)をするとよいでしょう。ただし、検査結果が示しているのは、あくまで可能性であることは覚えておいてください。
 
 
※診療報酬の計算の元となる健康保険の点数は以下の通りです。
1点=10円です。
自己負担が3割の場合は、合計点数×3=自己負担額(円)となります。
初診料 282点
再診料 72点
鼻汁好酸球 検査料15点 検査判断料125点
血清非特異的IgE抗体定量 検査料100点 検査判断料 144点
アレルギー性結膜炎迅速診断検査100点 判断料34点
CAP-RAST 検査料 1項目ごとに110点 検査判断料144点
CAP-16 検査料 1430点 検査判断料144点
イムファストチェック 検査料 480点
イムノキャップラピット 1030点
(ただし、6歳未満の場合1044点)
MAST36 検査実施料1430点 検査判断料144点
View39 検査実施料1430点 検査判断料144点
皮膚テスト 検査料 21箇所以内の場合1箇所につき16点 22箇所以上の場合一連につき350点 薬剤料もかかることがあります。
鼻粘膜誘発テスト 検査料 21箇所以内の場合1箇所につき16点 22箇所以上の場合一連につき350点 薬剤料もかかることがあります。
処方箋料 68点
 
 
 
以上花粉症の検査方法について解説しました。アナタの疑問は解決されましたでしょうか?少しでもお役に立てれば幸いです。
 
 
花粉症は一旦なったら、もうおしまいのように言われています。
しかし、そんなことはありません。
 
 
花粉症については、まだまだ知られていない対策がいろいろあります。
このサイトでは、花粉症で悩んでいる方に役立つ情報をこれから発信していきます。
 
 
花粉症を勉強して笑顔になった管理人と一緒に実践して、アナタの花粉症のお悩みを解決していきましょう。
 
 
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